文化連とは

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ごあいさつ

会員の協同で安心、安全な地域づくりを広げよう

私はこのたび、神尾透会長の後任として会長に就任いたしました、茨城県厚生連会長の八木岡努でございます。もとより微力ではありますが、会員の皆様のご期待に応えられますよう、精一杯務めてまいりたく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

現在は、新型コロナウイルス感染症の拡大のなか、困難な状況がつづいております。厚生連の病院経営は令和2年4、5月の2か月で164億円のマイナス収支になっており、単位農協の多くも、販売高の減少、組合員活動の自粛等、大きな影響を受けています。

また、九州、西日本を中心とした豪雨災害が発生し、多くの人命と農業、生活の基盤が失われました。新型コロナウイルス感染症の拡大のなかで、避難生活や復旧活動も困難を極めています。

この間、新型コロナウイルス感染症や豪雨災害で亡くなられた方々のご冥福と、困難な状況に見舞われた皆様、被害に遭われた皆様の一日も早い健康回復、生活再建、被災地の復旧を心から願い、本会としてもできる限りの支援をおこなってまいりたいと存じます。併せて、この困難な状況のもと、日々努力をされておられる医療関係者、農業関係者の皆様方へ、深く感謝申し上げます。

さて、文化連の第9次中期事業計画がスタートしました。「会員の共同で安心の地域づくりと経営改革の全国運動を」のスローガンを掲げ、会員がいっしょにめざすものとして、農家組合員・地域住民の願いである厚生連医療・保健、農協福祉の発展を、全国の協同の力で実現していくというものです。

スローガンとともに、「組織ビジョン」「事業ビジョン」を設定し、6年後、10年後の中長期的な文化連の組織・事業の姿を展望して、会員が協同でめざす構想となっております。

具体的には、病院の機能分化・再編の本格化の中で、厚生連医療においては、地域の医療を守るために、医療の質確保、効率化・生産性の向上、住民の合意形成といったマネジメント改革が求められています。農協グループとしては、第28回JA全国大会で掲げた「豊かで暮らしやすい地域社会の実現」をすすめていくうえで、医療・介護・健康づくり、厚生事業と農協福祉事業の機能発揮と収支改善が喫緊の課題となっております。

これらを実現していくうえで、文化連は、「3つの柱『共同購買』『地域づくり』『情報教育』」と「3つの改革『働く基本姿勢』『人材育成』『健全経営』」を基調として進めてまいります。

私と文化連のかかわりは、平成29年に本会監事に就任したときから始まります。監査業務を通じ、また会長、理事長をはじめ多くの役職員の方の奮闘する姿に触れる中で、文化連が会員厚生連・単位農協の経営支援に果たしている役割、設立の理念や共同購入事業の価値を深く知ることとなりました。

本会は、昭和23年に農民の健康の増進と文化的教養を高めるために設立され、爾来先輩の皆様方の大変なご苦労と会員の結集により、今日の組織・事業体制を築き上げてきました。その基本理念である「会員とともに取り組む協同活動」に裏打ちされた、徹底した現場主義と会員貢献意識は創立以来脈々として受け継がれ今日に至っております。

新型コロナウイルス感染症の拡大の中で、困難な日々が続いていると存じます。このような困難ななかでこそ、文化連役職員一同が、【文化連の理念】【文化連の使命】のもとに一致団結して行動し、会員の皆様の協同、結集をはかるために奮闘、努力することをお誓い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。

2020年8月
日本文化厚生農業協同組合連合会
経営管理委員会会長 八木岡 努

新しい年度を迎えて
アフターコロナの医療介護と農協改革
2つの環境変化の交差点に「地域づくり」課題

コロナ禍の中、日々診療と対策に奮闘されている関係者の皆様に心から敬意を表します。依然、会員厚生連・単位農協の経営は重大な影響を被っています。本会役職員一同、会員の経営支援に全力を尽くす所存です。

コロナ禍を経て強化される医療介護改革

ウィズコロナ・アフターコロナの転換期の環境変化をどう捉えるかについて考えてみたいと思います。

国の医療・介護政策の「改革」は、コロナ禍を経てむしろ強化されていきます。表では、医療で影響の大きい10ポイントを政府文書から抽出しました。今月から始まる介護報酬改定では、データに基づく「科学的介護」が強く打ち出されました。

団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年に向けて、国の狙いは、病院の機能分化・再編(とりわけ公的医療機関の最適配置)をこの10年くらいの間に地域合意によりやってしまおうというものです。すべて間違いとは言い切れませんが、十分な財政措置の不備や地域の自己責任押しつけには大きな問題があります。

個別の病院だけで生き残りを構想するのではなく、地域の医療機関・福祉施設、そして地域住民がいっしょになって進むこと、できれば厚生連病院がイニシアチブをとること、その中ではじめて厚生連医療・農協福祉の持続的な存立が可能になるということが大テーマになってきたと思います。

もう一つの変化のファクターは、農協「改革」です。国は農協を、企業的な大規模農業経営のためだけに行動する組織(もはや協同組合ではない)に変え、ついでに金融共済等からは撤退(銀行・保険会社に市場を差し出す)をさせようとしました。農協グループはこれに対抗し、「農業+地域(くらし)」のための協同組合として生きる道を選びました。医療・福祉・健康づくりは「地域・くらし」の基盤の柱であり、農協・厚生連が事業として取り組んでいることが重要な意味を持つようになりました。加えて、社会的に信用第一の金融事業を兼営しているからこそ、農協グループのすべての事業(連合会を含む)の収支健全化が強く求められるようになりました。厚生連の赤字にも従来以上に厳しい目が向けられます。

表.財政審建議(令和2年11月)にみる国の医療政策方向10ポイント

  • ①後期高齢者の患者負担2割化で受診抑制の懸念。
  • ②大病院外来の定額負担拡大(200床以上)で、「紹介患者を基本とする医療機関」を今後どう規定。
  • ③オンライン診療は、「恒久化」から「安全性・信頼性の担保を前提」にややトーンダウンか。
  • ④薬剤費適正化は、薬価算定方式の不透明性を指摘。予算統制や保険給付範囲の見直しは危険。
  • ⑤地域医療構想の協議は、医師の働き方改革や医師偏在対策とあわせて「再加速すべき」と強調。
  • ⑥予防・健康づくりは「医療費適正化…エビデンスに乏しく」「むしろ費用増加」との考え方を強調。
  • ⑦国保制度改革(法定外一般会計繰入問題視や県内保険料水準統一化)で、保険料急増の恐れ。
  • ⑧マイナンバーカードによる患者情報確認を推進し、重複投薬・検査のディスインセンティブとなる診療報酬対応を目論見。
  • ⑨生活保護受給者への医療扶助の規制強化の懸念。一方で、介護保険と同様に「国保加入させるべき」と正当な提案。
  • ⑩新型コロナへの対応で、「緊急包括交付金より臨時の時限措置として診療報酬による対応に軸足を移すべき」と提案。次回改定論議に影響か。
  • *筆者作成:影響の大きい10ポイントを抽出

現実的課題としての「地域づくり」

この2つの環境変化が交差する位置に、「地域づくり」が存在します。「安心の地域づくり」は、理想・目標として神棚に飾る言葉ではありません。経営に余裕がある場合の経費・人員で〝付加サービス〟的に行うものでもありません。「地域づくり」の実践(医療では機能分化・再編に向けた地域調整・住民合意=受け皿を含む安心の説明)が組み合わされないと、病院等の収支・財務改善も成就しないという「超」現実的課題となっているのです。

機能分化・再編の中で、公的医療機関の厚生連病院のマスト・ステージとなるのは急性期医療です。その最大の経営改革テーマは、医療の質の強化と、効率性・生産性の向上、医師の働き方対策です。こうした経営改革、ポジショニングをめざすことを地域に踏み出して訴え、住民・患者(その多くが農協組合員)に急性期病院のかかり方の合意を得る取り組みを、「地域づくり」として進める時を迎えていると思います。

地域の介護福祉の整備は、急性期医療を基本に置く厚生連病院の受け皿づくりとしてどうしても必要になってきます。厚生連の老健や訪問看護と、単協(関連社会福祉法人を含む)や地域の施設・事業所が連携した複合的な介護事業展開、そして組合員・住民が支え合い助け合うコミュニティーづくりは、喫緊の課題といえます。

感染症を正しく恐れ予防する協同活動を地域に広げる中に、病院・施設が安心して利用できることのアピールを組み込んでいくことも大切となるでしょう。

「梅に鶯、紅葉に鹿」そして「地域包括ケア・地域医療構想に協同組合」。協同組合としての厚生連医療・農協福祉の存在自体が、環境変化の中で価値を持つ時代と言ってよいと思います。

経営企画・地域連携の人材育成へ

本会は第9次中期事業計画で「会員の協同で安心の地域づくりと経営改革の全国運動」を掲げました。医薬品・医療資材・医療器械等の共同購入では、廉価購入や事務効率化による会員貢献に加えて、機能分化の中での医療の質向上に資する医療専門職の協同活動を重視していきます。

併せて、地域包括ケア・機能分化の連携支援、機関紙『文化連情報』等を通じた情報提供の充実化に取り組みます。新しく、病院・施設の経営企画や地域連携を担う人材育成、効率的なスタッフ教育のための、会員向けオンライン研修事業の開発に着手します。また、老健・特養等施設の担当者の交流の場を持ち、介護経営メソッドの研究を進めることを検討しています。

会員の皆様のさらなる「参加と協同」をお願いし、ご挨拶とさせていただきます。

2021年4月
日本文化厚生農業協同組合連合会
代表理事理事長 東 公敏