会員ニュース

令和5年度 在宅医療シンポジウム報告

山口県厚生連 周東総合病院

周東総合病院では、3月19日(火)18時55分より「柳井医療圏における在宅医療活動報告~これからの在宅医療に求められるものは?~」をテーマに柳井医療圏における在宅医療活動および地域の課題等についての情報共有することを目的として、在宅医療シンポジウムを開催し、総勢127名が参加されました。

当日は、シンポジストとして、周東総合病院 総合診療医 玉野井徹彦先生、光輝病院 理事長 重冨雄哉先生、正木内科医院 院長 正木充生先生が、それぞれの立場での在宅医療についての考えや、地域の課題、現在の活動報告、今後の展望についてお話しになりました。

玉野井先生は、この地域の高齢化の中で、「総合病院の医師として在宅医療に繋ぎたいが患者さんも家族も在宅医療を望まれていない? 諦めているのではないか?」という思いと、在宅医療に関わる職種の人材不足により地域で支えていくのも大変な状況である思いを持ちながら「在宅医療もアリ、という文化を作りたい」と話され、その1つとして患者さん、家族の願いを叶えた事例を紹介されました。そして、今後に向けて、地域の開業医の先生方と総合病院の先生方が連携した在宅医療体制の構築案を提案されました。

重冨先生は、光輝会として訪問診療をはじめたきっかけや現在の幅広い訪問診療の状況を報告されました。さらに、在宅医療を進める上での課題として、次世代の医師の育成方法や在宅医療を支える地域医療介護資源の低下を今後どうしていく必要があるかの問題提起をしていただきました。

正木先生は、周防大島町内で医療法人 徳隣会として正木内科医院を継承され、持続可能な医療体制づくりをすすめられています。法人理念のもと在宅医療の実績報告から周防大島町内での活動報告として、在宅医療だけでない町内の救急システムについての提案や、切れ目のない医療の提案、さらには医療だけでなく、自宅生活持続可能な生活サポートなどの必要性やICTの活用、住民への啓発活動として認知症カフェなどのお話をしていただきました。最後に「在宅医療を考える、実践すること=まちづくり」が大切で、在宅医療は行政を含めた「まちづくり」の1つでもあるとお話しになりました。

その後の質疑応答は、時間の関係で短くなりましたが、会場からの質問に3名の先生方が回答され、とても有意義な会となりました。さらに当院の副院長 瀬山厚司医師は、「医療者が在宅医療の邪魔をしてはいけない=在宅は無理だろうと総合病院が決めつけてはいけない」と話され、在宅医療に繋げるには、まず総合病院側も変わる必要があることを痛感する会となりました。

当日は、山口県議会議員 国本卓也様、柳井市副市長 宮本裕様、周防大島町長 藤本浄孝様、上関町長 西哲夫様、田布施町長 東浩二様、平生町副町長 友田隆様をはじめ、「まちづくり」の役割を担う来賓の方々にもご参加いただき、代表して柳井市副市長 宮本裕様より「行政として今日の課題を聞いてこれからできる事を考えていきたい」とお話しいただきました。

シンポジウムの様子

(山口県厚生連 周東総合病院 地域医療福祉連携室 和田 記枝)