医療と協同組合の
理念に惹かれて
私は子どものころぜんそくで医療機関に助けられた経験があり、医療そのものに強い関心を持っていました。また大学で協同組合の仕組みを学んだことから、営利企業ではなく社会的使命を持った組織で働きたいと考えるようになりました。就職活動では教育実習で教員を志していましたが、幼いころの記憶と社会における医療の問題に取り組んでみたいという気持ちが後押しし、進路を大きく方向転換しました。医療系の学部出身でない私ができるという枠の中で、地域医療や社会に利益を還元できる仕事を探しているところで文化連を知り、「医療×協同組合」という唯一無二の形態に心惹かれました。メーカーや卸との価格交渉を通じて病院にメリットを還元するという仕事は、自分の持つチャレンジ精神とも重なり、ここでなら本気で社会に貢献できると確信し入会を決めました。
内勤から業務課へ、
広がった担当領域
入会後はまず医薬品課に4年間所属し、内勤として福島県の厚生連病院を支える業務を経験しました。請求確認や見積取得、価格登録といった地道な事務を担いながら、医薬品の共同購入の基礎を徹底的に学びました。その後、業務課に異動し広島県を担当。ここでは医薬品だけでなく医療材料や医療器械まで幅広く取り扱います。西日本の中でも比較的大規模な厚生連病院と関わる中で、薬剤部や資材部と直接交渉し、共同購入の意義を伝える役割を担っています。大病院から「単独購入の方が有利では?」との声もありますが、小さな病院を含めた協同の力こそが全体最適につながります。現場の医療従事者と向き合い、コミュニケーションをとりながら合意形成を進めることに、大きなやりがいを感じています。
価格適正化と
信頼構築に挑む日々
私の仕事の核となるのはズバリ価格交渉です。医療機関が購入する薬の価格は国が定めており、同じ薬でも国の仕組みにより基本的に毎年引き下げられます。その流れを踏まえてメーカーや卸に適正な値下げを求めます。単なるコスト削減ではなく、余剰利益を地域医療に還元するという視点が不可欠です。実際に交渉で価格が下がり、赤字基調の病院経営に少しでも貢献できたとき、社会的意義を肌で実感します。また、薬剤部の方に交渉で得られた成果とその理由の説明などをして納得いただいたときも自己成長を感じます。はじめて作成した資料を上司から「よく頑張った」と評価された経験は今も忘れられません。文化連は若手同士の横のつながりが強く、教え合う文化も根付いています。信頼を積み重ねる日々の業務こそ、自分の成長の糧であり、文化連の強さを形づくる要素だと感じています。


